時空を超えた宝の山で、あなただけの一期一会を。西小山の古物店『umi neue(ウミノイエ)』

西小山駅から商店街を抜けて、住宅街を歩くこと5分。大きな窓からやわらかな光を放つ、静かな佇まいの建物が現れます。

こちらが今回ご紹介する「umi neue(ウミノイエ)」。古物、漂着物、用途のあいまいなオブジェクトなど、さまざまな商品を取り扱うお店です。

オーナーの海村俊亮さんは、プロダクトデザイナーとしても活躍する目利きのプロ。時代や国籍を問わず、独自の目線で集められたラインナップは見ごたえがいっぱい。

扉の先に待ち受ける‘‘宝の山’’で、一体どんなモノに出会えるのか、ドキドキしながらおじゃまします。

隅から隅まで、多彩なコレクションがならぶ空間

四方八方どこを見渡しても、ところ狭しと品物がならぶ店内。色・形・素材、なにもかもがバラバラなのに、不思議と調和しています。

商品の多くを占めるのが、うつわや花瓶、オブジェなどの古物。明治から昭和まで、幅広い時代のものを取りそろえています。

うつわは絵柄に着目し、風変わりなものを集めているんだとか。古物とは思えないほど状態がよく、日常使いもしやすそうです。

一方で、‘‘まさに年代物’’といった風合いの古道具も見られます。色の褪せ具合が経年を感じさせ、渋い雰囲気がたまりません。

花瓶はサイズ、デザインともに豊富な品ぞろえ。美しい並びに目を引かれます。

色味といいフォルムといい、特徴的なものが多い印象。お花を活けるのはもちろん、そのまま置くだけでも空間に映えそうです。

オブジェは、さまざまなモチーフのものがズラリ。一段とかわいらしいディスプレイに、なんだかほっこり和みます。

個人的にときめいたのは、こちらの筆立て。鋳出(いだし)文字をよく見ると、いつかの小学校で配られた記念品のようです。

ステキな品々に次から次へと目を引かれ、眺めているだけでもワクワクします。価格設定も手頃なので、ここではお財布の紐がゆるみそうです(笑)。

実用性にこだわらない、マニアックな商品の数々

商品の中には、ひと目では正体が分からないものや、「こんなものまで?」とびっくりする珍品も。

たとえば、ラッパのような形をしたこちらの正体、いったい何かご存知ですか?

正解は、自転車用のクラクション。黒いゴムボールをにぎると、「パフパフ」と昔なつかしい音を響かせます。

年季の入った黒板なんかもありました。

どこかの町工場で使われていたようで、チョークと黒板消しもしっかり残されています。

また、趣味の一環で集めてるという、流木や石などの漂着物もあります。

たとえば、独特な形状をしたこちら。

正体は、なんと「竹」!上部に生えていた根っこは、波にさらわれてしまったみたい。パンチパーマのような見た目が面白いです。

石のコレクションは、まさに圧巻そのもの。

石にも地域性があるらしく、その場所でしか見かけないものも多いそう。「この石は○○で拾ったの?」と、出身地を言い当てるマニアなお客さんもいるんだとか。

実用性のあるなしにこだわらない、ユニークな品ぞろえもまた魅力。どんな風に使おうか、想像をめぐらすのが楽しいです。

ちいさな思いつきから、形にしていく企画展

「umi neue」では、さまざまな作家とコラボレーションし、不定期に企画展を開催しています。

こちらは昨年訪れた「圧縮画廊ウミノイエ」展。
海村さんのコレクションに、デザイナーの寺山紀彦さんがプレス加工を施した作品です。

造花やおもちゃなど、バラエティに富んだ面々。
ひとつひとつ手作業でプレスしたそうで、どの素材も独特な歪み方を見せています。

このような企画は、‘‘こんなことをやってみたら面白そう’’という発想を元に、半年から一年をかけて準備しているそう。

「うちだからできることを、目先の利益にとらわれず、じっくりと取り組みたいです。時間をかけて趣向を凝らすと、それなりに人も来てくれます(笑)」。

ただ集めるだけではなく、新しい角度から手を加え、唯一無二の造形物をつくり出すこころみ。それは、ものを心から愛する海村さんだからこそなせる業。
そんな風に感じ、海村さんの‘‘好き’’が詰まったこの場所に、ますます愛着が湧いてしまいました。

時間を忘れて、モノとの巡り会いを楽しもう

夢中になって物色していると、気づけば1時間も経っていました(笑)。

今回わたしが見つけたお気に入りは、ブリキ缶の裁縫箱。レトロ感満載で、絶妙な色味にひとめ惚れしてしまいました。

あふれんばかりの宝物をそろえ、ふつうの古物店とは一線を画す「umi neue」。

ぜひ、一度足を運んでみてください。

きっとあなたの心を掴むモノに、巡り会えるはずですよ。

umi neue(ウミノイエ)
住所:東京都品川区荏原7-6-13
アクセス:東急目黒線「西小山駅」から徒歩6分
営業時間:13:00-18:00
定休日:不定休(基本土日祝営業)
Instagram:https://instagram.com/umineue?igshid=YmMyMTA2M2Y=

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。