武蔵小山駅の近くにはいくつか神社があります。その中のひとつ「矢の川弁財天」は、住宅街の路地のつきあたりにひっそりとあって、なんともコンパクトな境内がユニークなんです。
意外なところに弁財天が
武蔵小山駅から行く場合は、補助26号線に出てから、「東天地本通り」と書かれた商店街の入口アーチを左折します。
ここから歩いておよそ2分、通りのスナックやバー、焼き鳥など飲み屋さんを通り過ぎながら100メートルほど歩いていくと…、
商店街が終わるところで、このような路地にたどり着きます。
路地の奥に唐突に赤いのぼりが見えますが、あれが矢の川弁財天です。
コンパクトだけど清々しい弁財天
矢の川弁財天は本当に小さいのです。家でいうなら2〜3畳のひと間といったところでしょうか。
それなのに、境内には鳥居が2本建ち、橋もかかっています。所狭しとさまざまな木も繁っており、いまはツツジが花を咲かせています。あえていうと、幕内弁当のように鮮やかに詰め込まれた雰囲気です。
鳥居の先には戸越方面が見えますが、この景色は10年以上前から変わりません。
祠(ほこら)にはきちんとお水が備えられていて、両脇の榊(さかき)も瑞々しさを保っています。
いつもきれいに手入れされていて、佇まいが清々しいのです。
かつての水辺を再現?
橋の下では、ちゃんと水が流れているんですよ。
人工的に水を流しているのですが、神社の名前である矢の川を再現しているのでしょうか…。
矢の川についてはっきりとはわかりません。しかし、弁財天は水に関係するところにあるといいますし、このあたりは谷底にあたるので、昔は水が流れていたとしても不思議ではないでしょう。
さらに、ここに来るまで通ってきた東天地本通りは、地図を見るとわかるように、ちょうど目黒区と品川区の境目なのです。もしかしたら、矢の川で線引きされたのかもしれませんね。
いずれにしても、以前の姿を残そうとする気持ちが伝わってくるようです。
歓楽街を支えた弁財天
また、昔の東天地は歓楽街でした。工場の作業員さんたちがよく飲みに来ていたのだとか。なるほど、入り口アーチには「GOLDEN TOWN」と書いてあるわけです。
以前の矢の川弁財天は、夜の飲食店を支えていたのでした。
今は飲み屋さんだけではなく、いろいろなお店にご利益を授けているようです。境内に掲げるのぼりには、企業や商店の名前が刻まれています。
それにしても、長く周囲の人々を守ってきたのでしょう。いつのものかわかりませんが、境内には小さな古い祠(ほこら)も残っています。
金運といえば、境内から歩いて5分ほどのところには、火防(ひぶせ)稲荷が祀られています。こちらも矢の川弁財天と同じく、住宅に挟まれてなお健在。ふたつの神様ががっちり財運をガートしてくれているようです。
9月にお祭りがおこなわれる三谷八幡神のような、にぎやかさはないかもしれません。でも、矢の川弁財天ならいつでも静かにお参りできます。近くに行くことがあったら、寄ってみてくださいね。
矢の川弁財天
住所:東京都品川区小山4-11-8
アクセス:東急目黒線「武蔵小山駅」より徒歩約5分